斉藤美奈子ボツフォードさんのgallery spaceで朗読会。
「62のソネット+36」
谷川俊太郎氏の文庫本新刊/集英社文庫
ウィリアム・I・エリオット氏
川村和夫氏訳
アラン・ボツフォード氏の美しい朗読から始まり
エリオットさんの面白い朗読、川村さんの裏話があった。
実父も随筆と石碑解読をしているが元は演劇学経由で詩人をしていた。蔵書数を競い合った世代でもあり、家の本は図書館並みにあった。父の拘りと反骨精神は執拗だったと言ってもいい。谷川さんが「父が哲学者で、蔵書が多く、いつでも本を読める環境にあるから、その貴重さが解らず、空を眺め、無口だった」と言われた場面で畏れ多くも頷いた。同年代に比べたら本も読んだ方だろうが寝食忘れるほど読んでいないし、読んだものを語れない。詩の言葉が何百もの意味を持つことを知っている故、語らないし、文章が美しい人宛の手紙を書けない。不特定多数の人にブログは出来るのに、特定の知識人には書けないで1年たつこともある。テキトーに多くを語る人や、その場で主張が出来る人は、すこーしばかり羨望でもある。谷川さんは突然、言葉が湯水のように沸いて来た時期があったそうだ。そのときに書いたものが今回の文庫本、62ソネット。
ソネットとは十四行詩、Sonnetは14行(=4.4.3.3)のヨーロッパ定型詩のこと。
英語も美しいが、ひらがなとカタカナと漢字の意味を使いわけて日本語の詩はふかーい意味を持つので深読みは正しかったりする。
ひろがり
ものたちのひろがりの中を
私は歩き続ける
ふと風が立つ
すると時が身動きする
ひそかな身ぶりも
だがすぐ忘れられる
人の気づかぬひろがりの中に
時の死がある
人間の想いおよばぬひろがりに気づいていよう
私には無関心なものたちの間で
生き死ぬことを知ろう
私は歩き続ける さながら私もものであるかのように
私は見るのをやめる
そのとき突然私は生き始める
I keep on walking
through the expanse of things
Suddenly the wind rises.
And time stirs.
Subtle gestures,though,
are soon forgotten.
In the expense of which no one is aware,
time dies.
I will always be aware of an exparise beyond
human imagination.
I will learn to live and die
surrounded by things indifferent to me.
I keep on walking as if I,too,were a thing.
I stop looking.
And all at once I begin to live.
谷川さんの詩は風刺も明るい。
裏を読んでも
そのままでも心地よく入る。
今回の朗読で持ってこられた本
詩の本、
私、
二十億光年の孤独
おまけ: ここのところリュ・シファがお好きだそうだ。
おまけのおまけ:私、23のとき、杉並のお宅に原稿を取りに伺ったことがある。
身内ストップで一部削除しました、笑。